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Ibー忘れられた肖像、一人ぼっちだった絵画、記憶をなくしていた少女の話ー

Ibー忘れられた肖像、一人ぼっちだった絵画、記憶をなくしていた少女の話ー

一人ぼっちだった絵画〈メアリー〉の後悔の話。

どれくらい経っただろう。
わたしが戻るとイヴはいなかった。
床に散らばっていた青い花弁も一枚残らず消えていた。

…なぜだろう。嫌な予感がする。
上に続く階段は茨で閉じられたまま。
確かめて来たらピンクの建物のドアも鍵がかかったまま。

まさか…まさか……。

おもちゃ箱に続く階段を下りて暗い廊下を走った。
そんなはずない!! きっとわたしの勘違いだ。
それなのに。
「…なんで?」
わたしの目の前には疲れたように眠る青年と少女。
二人の周りには青と赤の花弁が散らばっている。

どうしてこうなったの。
途中まであんなにうまくいってたのに。
頬に涙の跡が残るイヴの手には芯だけになった薔薇が二本、大事そうに握られている。
「自分でむしったの、イヴ…?」
そんなにギャリーが大事なの? 自分の命より…。

ずっと強張っていたわたしの体から全ての力が抜ける。
ぺたりと座り込んだわたしの手から花弁が一枚だけの青い薔薇が滑り落ちた。
「二人とも、帰すつもりだったのに……」

ギャリーの薔薇の花弁は十枚。
全部むしるとギャリーが死ぬし、全部むしると「キライ」になっちゃうから九枚だけもらって帰してあげるつもりだったの。
『外』には出られなくなるけど、それでもいいと思えたの。

「ごめんなさい…ごめんなさい…!!」
最後の最後に意地悪がしたくなったの。
ギャリーに大事にされてるイヴが羨ましかったの。
わたしの持ってた造花を芯だけにしてイヴが見てる前で投げ捨てた。ギャリーが死んだって思わせるために。
「こ…こんなことになるなら、意地悪するんじゃ…なかった。薔薇、返してあげればよかった」
今更言っても取り返しがつかないけれど。
「二人とも、ごめんなさい」

「また、やり直さなくちゃ・・・」

そういって私はとある絵を燃やした。
その絵の題は[一人ぼっちだった絵画]。
みるみる灰になっていく。
絵も私も・・・
次こそは、3人とも一緒に外の世界に行こうね
さようならイブ、ギャリー。
また美術館で会おうね。

HappyEnd?

忘れられた肖像〈ギャリー〉
一人ぼっちだった絵画〈メアリー〉
記憶をなくしていた少女の話〈イヴ〉
の話。